標題の名古屋地裁の判決が、2020年10月末に出されていたようです。
リアルタイムのニュースでは気づきませんでした。
ここ数日、ネットのニュースでようやく気づきました。
毎日新聞10月29日東京朝刊によれば、詳しい訴訟の内容は以下の通りです。
「定年後に再雇用された名古屋自動車学校の元社員男性2人が、
同じ仕事なのに賃金を不当に減額されたとして、
同校に定年時の賃金との差額を支払うように求めた」というもの。
これに対して名古屋地裁は
「定年時の額の60%を下回る部分は違法」とし、
退職した65歳までに下回った計625万円の賠償を命ずる判決を下したそうです。
一審なので、今後判断が変わっていくことは十分ありえます。
ただし、問題提起としては非常に重要な裁判だったのではないかと五十男浪は思います。
定年後再雇用制度をめぐる不協和音、について、
以前の記事でも感想を述べたことがあります。
「なにかおかしい」と思っている人は多いと思いますが、
司法の場でここまで明確に「おかしい」と指摘された事例ははじめてなのではないでしょうか。
先の毎日新聞の記事によれば、原告の2名は、60歳で定年を迎えて以降、
「主任の役職が外れたほかは職務内容が同じまま有期雇用の嘱託社員として勤務」し続け、
「業務内容や責任の程度に違いがないのに、賃金総額が定年時の60%前後となり、
若年の正職員の額も下回った。」と指摘。
結論としては、「基本給を定年時の60%とし、
これを下回る基本給や賞与などの減額分は、
無期雇用者と有期雇用者との差別を禁じた旧労働契約法20条に反する」とのこと。
そもそも、この判決によるところの「定年時の60%(以上)は合法」
とされる根拠がわかりません。
(仕事の内容は定年前後で変わらないんです。)
別の記事によれば、原告は年金と高年齢雇用継続給付金を受けていた、
ということですから、給与以外の収入手段を持たない若年正職員との均衡、
という観点もあったのでしょう。
それにしても「仕事変わらず、責任の重さも変わらず」です。
減額率の点については、今後も議論がなされることと思いますが、
「正規雇用者と定年後の非正規雇用者を差別するのは違法」
と明確に断じたことは評価すべきであろうと思います。
(過去の判例で、正規と非正規の賃金格差は不合理ではない、とする
判断がされたこともあるのです。※長澤運輸事件最高裁判決)
今後も、国は(年金支払を抑えたいため)、企業に対して、
「1日でも長く雇い続けろ」といい、
営利企業は、できるだけ損を少なくする働かせ方を考えざるを得ないから、
しわ寄せを従業員側に持っていこうとする。
これ以上、中高年にとって不幸な職場を増やしてはいけない!
そのような意志をもった社会の判断、司法の判決が今後も続くことを五十男浪は強く望みます。
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